HOME > 座談会 動物看護師統一認定試験実施に至るまで

座談会 動物看護師統一認定試験実施に至るまで 2013年からスタートした動物看護師統一認定試験の先には、動物看護専門職の公的資格制度の創設があります。目指すのは獣医療に関わる動物看護師の知識・技術を高度化や、社会的地位の向上。今回は統一認定試験の実施に尽力くださった5名の先生方にお話を伺いました。

対談者プロフィール

山根 義久(やまね・よしひさ)

公益社団法人 日本獣医師会 会長
公益財団法人 動物臨床医学研究所 理事長
国立大学法人 東京農工大学 名誉教授
動物看護師統一認定機構 機構長
医学博士・獣医学博士

太田 光明(おおた・みつあき)

麻布大学獣医学部教授
一般社団法人日本動物看護職協会 会長
動物看護師統一認定機構 副機構長
農学博士。獣医師

細井戸 大成(ほそいど・たいせい)

公益社団法人 日本獣医師会 小動物臨床 担当理事
公益社団法人 日本動物病院福祉協会 専務理事
社団法人 大阪市獣医師会 副会長。
全日本獣医師協同組合 副理事長
動物看護師統一認定機構 幹事長

古賀 俊伸(こが・としのぶ)

公益社団法人日本獣医師会 事務局長。
獣医師

矢ヶ崎 忠夫(やがさき・ただお)

公益社団法人日本獣医師会 専務理事。
獣医師

下薗 惠子(しもぞの・けいこ)

一般社団法人 全国動物教育協会 会長
動物が生きる喜びをかみしめることができる社会、 人と動物が本当の意味で共存共栄できる社会を目指す愛犬家。

第一回動物看護師統一認定試験を終えて

1

下薗:はじめに、先生方の御尽力のお陰様で動物看護師統一認定試験が実施するに至りましたことを心より感謝いたしております。今日は、先生方の統一認定試験実施のご感想や今後の期待値、そしてこれから教育機関である我々が担わなくてはならないことなど忌憚なくお話しいただきたいと思います。また動物看護師をめざし学ぶ学生達にご支援のお言葉なども頂戴出来れば思います。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

山根:まさに今、動物看護師の公的資格化にとっては、とても良い環境にあると思います。
今年度統一認定機構が実施した第一回認定試験に6400名をも超える受験者を迎えました。そして沢山の先生方が意欲的に参加協力いただきました。専門学校においては取りまとめ役として全国動物教育協会ができ、一生懸命モデルコアカリキュラムを作成し、その動きに政治の世界も理解を示してくれた。行政側では農水省がきちんと担当者も決め日本獣医師会も含め、皆が盛り上がって来つつあります。初期にはこの動きに異論を唱える方々もいらした。でも、周囲の環境が整ったこれからは変わっていくでしょう。

太田:4年前私が看護職協会副会長になり、この統一認定試験に着手しようとしてきた時にくらべ、現在の状況は格段に良くなってきました。これからの課題としては専門学校の教育の質を上げていく事が重要だと思います。
後は、その結果をキチンと文科省に反映できれば、良い意味で農水省と文科省が両輪で支援してくれると思います。
ここで、私が一番お話したい事を言わせて頂きますと、このところペットの飼育頭数が横ばい状況にあります。この頭数を増やしていく事は獣医師には無理なのですね。実は動物看護師にしかできないのです。なぜかというと、動物看護師は動物を飼うことが、いかに素晴らしい事なのかをお客様と肌で接して説明できる。そういう意味ではペット業界で動物看護師の果たす役割はとても大きい。 そこを自覚して世間に動物の素晴らしさを伝えて行ってほしいですね。
それと、今後、動物看護師の仕事業務の役割をしっかりと決めて行かなくてはなりません。教育機関も、ここまでは動物看護師としてやらしてほしい・・などと要求して行っても良いのではないでしょうか。

1

山根:業務にはランクがあって難しい事ではあるが、獣医師と動物看護師の仕事分担をはっきりとさせること、これが大きな山であり、最も重要なことであると思います。今後、議論しなければならないが、小動物医療から産業動物医療まであらゆる分野に動物看護師は必要不可欠な職業なのです。また、獣医師一人を育成するのに大きな国家予算が必要となります。それだったら獣医師でなくても動物看護師で出来る仕事が沢山ある。そこは動物看護師さんにしっかりと任せる。獣医師ばかり増やすのは、国家的な全体像から見てもとても効率が悪くなると思いますね。